第九回 陈氏书院

第九回 陈氏书院

旅游日语 日韩女星 2018-11-30 15:08:45 609

一、観光地についての案内

1.仕事のやり方

2.話術(案内のコツ)・話言葉のコツ

3.効果的話術

二、名勝案内実例

三、宿題



01

観光地についての案内


    お客の主な目的は観光地を観賞することにあって、観光地についての説明は案内のもっとも重要な部分だと言いえる。それゆえ、観光地に関する紹介はガイドが腕を見せる重要なところでもある。


    違った文化、違った環境から来た人に対して、仕事のやり方・話言葉のコツ・説明の効果を挙げる話術(案内のコツ)が必要になるのである。


1.仕事のやり方

1.1 仕事のやり方(業務実施中のガイドの心得)

①お客の名前や声や嗜好(しこう)をできるだけ早く覚えること。

②客の前での飲酒や喫煙、ツアー中のトランプなどは禁物。

③ガイドの居眠りや読書などの行為は客の反感を呼ぶ。

④業務連絡以外のための携帯電話の使用は禁止。必要なとき必ず安全な場所に駐車してからかけるように。

⑤ガイド・ドライバー間の私語は慎むべきである。ドライバーの居眠りを防止するための会話は、客に迷惑をかけないように細心の注意を払う。

⑥ライバーの安全運転をガイドも常に注意しておかなければならない。


1.2 ガイドの心得

①案内時、お客の歩く速度を考慮する。

②ツアー第一番目の都市の案内を担当するガイドは、中国全体の説明から始め、二番目以降の都市の案内を担当するガイドは、その都市の説明から始める。

③話術や話言葉のコツに心がけること



2. 話術(案内のコツ)・話言葉のコツ

    文化・言語の面において、古代日本は、中国に深く影響されたのに対して、近代になってから、中国は逆輸入の形で日本に深く影響されているゆえ、中日両国は文化・言語の面において、似通ったり共通している点が頗る多い。が、その反面、似て非なるものも多い。もしうまく弁えることができなければ、とんでもないミスを犯してしまう。2002年、観光客を誘致するため、広州市観光局の作成した「広州観光」というふつうの日本人向けの宣伝ビデオから伺おう。



上記の音声資料を文字化したら、つぎのようになる。

    五つの嶺が越秀山に接し、滔滔たる珠江の水が羊城を養す、広州の風情はいつまでも伝えられていきます。広州は山に頼り、海に望み、山、城、田圃、海など、自然に恵まれて本当に美しい。しかも近年は、一年間の小変貌、三年間の中変貌を経て、広州は大きく変わってきました。


    とあるように、いかにも中国の役人の宣伝的口吻の上記の内容を、訳者は最大の注意と努力を払って、一字一字推敲した結果できたものであろう。しかし、聞手にとっては、頓珍漢な、あるいはさっぱりわからないものである。それは、次のような分かりやすく伝えるための話言葉の独特なコツをつかんでいないせいである。


    書面で読んでみたら、読者はある程度推測できるだろうが、耳にした場合、初めて広州に来たふつうの観光客にとって、「山に頼り」などの文法上の違いはさておき、何の前触れもなく突然出てきた「五嶺」、「越秀山」、「珠江」、「羊城」などは、どんなものであろうか、ましてや「小変貌」、「中変貌」とは、想像のできそうもないものである。


   以下では、「陳氏書院」についての説明を例として、話し言葉のコツを紹介してみよう。



2.1 音読・訓読を巧みに利用して説明すること

    特に中国の人名、地名を紹介する時、

・先ず音読みで全体的読む

・音読みか訓読みで紹介する。必要な場合、一字ずつにまで紹介することもある。

・もう一回復唱する


というやり方で行けば、通じやすい。たとえば、

・劉全興:「りゅうぜんこう」と申します。「劉」は「劉備」の「劉」で、「全」は「全部」の「全」で、「興」は「興奮」の「興」で、劉全興(りゅうぜんこう)です。


・平遥(へいよう):平(へい)は、「平和」の「平」で、「遥(よう)」は「遥(はる)か」の当て字で、「平遥(へいよう)」と言います。



2.2 実物を借りて説明すること


陳氏書院:目の前にあるのは「陳氏書院」です。

上の額をご覧ください。




    真正面の高い部屋をご覧になって下さい。

    上に「集賢堂」という額が掛かっていますね。賢い人が集まる所という意味です。即ち陳の一族の若者たちがすべて賢い人なので、ここに集まり勉強したら、将来きっと出世できるという願いを込めているものです。


ドアを守るお神様で、「門神」です。



2.3 日本人熟知の事物か、日本の事物を借りて説明すること。

・「大理」という地名なら、「『大理石(だいりせき)』の『大理』です。」または、「『大理石』の産地として有名な大理です。」


・「蘇州」という地名なら、「庭園で有名な『蘇州』です。」または、「李香蘭、美空ひばり(松浦亜弥、青窈蘇州夜曲)などによって歌われてきた有名な歌、『蘇州夜曲』にも出た有名な『蘇州』です。」


松浦亜弥、青窈蘇州夜曲



・対聯の意味について説明するなら、「お盆のとき、日本人の豆まきと同じで、『福はうち、鬼は外』という意味の縁起物です。」


 

2.4 できるだけ短い句を用いて説明すること

 長い文が多用される書き言葉に対して、話言葉は、短い文ほど通じやすい。その場合、「こう」、「そう」、「次のように」、「下記のように」などを使うことが多い。


・皆様、こういう話を聞かれたことがおありでしょう。宇宙飛行士が宇宙飛行中地球を見下ろすと、地上の人工的工事は、中国の万里の長城とオランダの浜辺の干拓(かんたく)工事、この二つしか見えないそうです。 


・中国にいらっしゃる前に、こういう話を聞かれたことがありますか、「蘇州で生まれ、杭州で遊び、広州で食事、柳州で他界する」と。


 

2.5 必要な情報しか提供しないこと

 文化がそれぞれ違い、中国人にとって当たり前のことであるが、日本人に紹介する場合、テーマと関係のないものを省かなければならない。


・「科挙」というのは、中国隋の時代から、清の時代まで国家が孔子、孟子などの書いた儒家の本から問題を出して行った試験です。そのやり方は、時代によって違いますが、簡単に紹介すると、まず各地で試験が行われ、その地方の試験に合格した人はまた都に行って、皇帝主催の試験に参加します。


・清の時代、陳家は広東省内では一番大きい家族でした。その時、その一族の中から優れた人材が出て、皇帝の主催した試験で三位をとりました。そこで、もっといい人材を多く育成するために一族は寄付金を募って、この学校を建てました。


 

2.6 まとまった形で、順序よく説明すること。

「四大美人」、「四大料理」、「文房四宝」、「四大名繍」など、決まり文句みたいに言い継がれてきたのは、私達の祖先がいかにすれば伝承・記憶しやすいかと工夫してきた知恵の実りである。説明内容をよくまとめ、個条書きのように説明するのは、お客に覚えてもらいやすい。


・(陳氏書院は)広東民間建築の装飾芸術の集大成と言われています。有名な建築装飾と言えば、三種類の彫り物と、二種類の鋳物と二種類の塑像、という工芸品が挙げられます。三種類の彫り物とは木彫り、煉瓦彫り、石彫りで、二種類の鋳物とは銅と鉄で鋳造されたもので、二種類の塑像とは、陶器と石灰の塑像です。まさに、巧妙、雄大な建築と、優雅な庭園と、優れた工芸品でできたものです。


・中国古代の「文房具」とは、筆、墨、紙、硯という四つのものを指します。その中で一位を占めているのは硯で、広東省の肇慶でできた端渓硯が、一番上等なもので、「硯の王様」と呼ばれています。ほかに、安徽省の墨と「宣紙」という紙、浙江省(善漣鎮)の筆が一番有名です。



・中国各地に刺繍がありますが、広州刺繍は浙江省の蘇州、湖南省の長沙、四川省の成都のものと並んで、中国四大名繍だと呼ばれています。四大名繍はそれぞれ特徴があります。蘇州刺繍は両面刺繍(りょうめんししゅう)の猫、長沙のは動物の王、虎で(特に虎の毛がぴらぴらと光っていて、まるで生きているもののようだ)、成都のは鯉という魚と、芙蓉という花で、ここ広州のは鳥が有名です。特に広州の刺繍は1915年にパナマで行われた万国博覧会で高い評価を得たこともあって、非常に有名です。


・中国には象牙彫りの流派は 三 つあります。北京、上海と広州のものです。


    北京のは古代の美人、いわゆる「仕女」が代表作で、上海のは草、花と鳥で有名です。ここ広州のはその中で一番有名で、1915年にパナマで行われた万国博覧会では、広州の39層の球彫りが工芸特別賞を受賞しました。



2.7 聞き間違いやすい語彙の使用を控えること

    日本語には、同音異義語がたくさんあるし、聞き間違いやすい語彙もたくさんあるので、いかにしてそれらによる誤解を避けるのかというのも考慮すべきである。例えば、一年生の時、私達は、七時の読み方として、「しちじ」は正しい、「ななじ」は間違ったものであると教わってきたが、実は、大勢の観光客を相手にする場合、日本人のガイドは、「明日の朝食時間(VTR1およびその後のVTRは最後の付録資料にある)、七時半(しちじはん)、七時(ななじ)三十分です。」というふうに繰り返して案内するのがふつうである。



3.効果的話術

    聞手に印象深く記憶してもらうには、種々の話術があるが、よく使うものを挙げよう。


3.1 三段法説明をすること

    前に紹介したように、名所旧跡についての説明は、普通三つのステップに分けられるが、陳氏書院(VTR2およびその後のVTRは最後の付録資料にある)についても同じで、「ウォーミングアップ」、「観光地到着後の説明」と「観光後の吟味」という三つの段階に分けられ、説明の重点がそれぞれ違う。


例えば、

・ウォーミングアップ

    皆様、もうすぐ陳氏書院に着きます。

    この「陳」とは「陳列」の陳で、「氏(し)」とは、「氏(うじ)」の音読みで、「書院」とは日本語と同じで、学校の意味です。1890年から1894年にわたって出来上がったものです。元々広東省に住んでいた陳という一族の子供達の科挙試験(かきょしけん)のための学校で、そして、家族の氏神でもあり、「陳家祠(ちんかし)」とも言われます。この「祠(し)」とは、日本語では「祠(ほこら)」という当て字です。


    陳氏書院は、敷地面積が15,000平方メートル、建築面積が6,400平方メートルもある規模の大きい古代の建物で、広東民間建築の装飾芸術の集大成と言われています。有名な建築装飾と言えば、三種類の彫り物と、二種類の鋳物と二種類の塑像、という工芸品が挙げられます。三種類の彫り物とは木彫り、煉瓦彫り、石彫りで、二種類の鋳物とは銅と鉄で鋳造されたもので、二種類の塑像とは、陶器と石灰の塑像です。まさに、巧妙、雄大な建築と、優雅な庭園と、優れた工芸品でできたものです。


    今陳氏書院は全国重要文化財に指定され、広東省民芸品館として、広東省でできた民芸品が陳列されています。着いたら、綺麗な建築と、悠久の中華文化と、絶好な民芸品が鑑賞できます。一緒によく鑑賞しましょう。


・観光地到着後の説明(省略。現場教育の時に行う)

・観光後の吟味


    お疲れ様でした。実は中に陳列されているのは広東省の民芸品の全部ではなく、その中のわずか一部分に過ぎません。ほかに小麦粉細工、紙細工、泥人形、貝殻細工など色々あります。こちらで特にご紹介したいのは広東の絵、嶺南流派の絵画です。この流派は中国のいわゆる「国画」に源を持ち、清の時代に国画の画家が海外へ留学に行って、油絵や大和絵に影響されて開かれた独自な特徴のある流派です。特に花鳥、山水が得意で、海外でも非常に名が高いです。


    陳氏書院は広東省の貴重な文化遺産として世界的にも有名です。



3.2 全員参与型の説明をすること




   (扉の前にみんなを案内)大きな芭蕉の下に、小さい鶏を多く連れている大きな鶏が一羽いますね。芭蕉の葉っぱは非常に大きいでしょう。中国語の発音では、この葉っぱは「業績」の「業」と同じ発音で、それを意味しています。母子の鶏は祖先と子供のことを象徴しています。したがって、全体の意味は「祖先のお陰で、子供たちは無事に成長し、大きな事業を創造し、出世できる」とのことです。



    二番目と三番目の内容は壺、爵、蝙蝠、麒麟です。意味は「きちんとした才能を持っていれば、自然と爵位(しゃくい)と禄(ろく)がとれる」、現在の話で言えば、国家の重鎮になり、高い給料がとれると言うことです。



   (お神輿について)皆様、これをご覧下さい。何でしょう。日本人と東南アジアのお客様は大体推測できるでしょうが(暫く待って、みんなの反応を見てから自分の説明を進める)、下に穴が見えるでしょう。使うとき、長い棒を中に貫いて、大勢で担いで行くものです。(皆の意欲を動員。出来れば自分のかわりに話してもらう)



    (お鯱について)またここに屋根の上の飾りものも陳列されています。面白い形ですね、何に似ていますか。(ちょっとみんなに考える時間を与えて)しゃちですね。ご覧ください。頭は龍のもので、尾は鯉のものです。これは中国の登竜門(とうりゅうもん)という伝説からきたものだそうです。(皆の意欲的参与を求める)



3.3 面白く説明すること

・(桂林観光に来たお客さんに)皆様、ようこそケイリンにいらっしゃいました。あれ、自転車を持っている方、一人もいないようですね。(桂林⇢競輪)


・北海道の鉄腕バスガイド(VTR3およびその後のVTRは最後の付録資料にある)

    出所:刑務所、アザラシ⇢アザらしい)

 同音異義語や掛け言葉をうまく使ったこのような説明方法は、お客の笑いを誘い、ムードを高めることができる。


3.4 ポイントを強調すること

    ポイントを強調する方法として、ウォーミングアップをしたり要点を繰り返したり最重要なものを最後に説明することなどが挙げられる。ここでは、最重要なものを最後に説明する方法を例として紹介する。


    例えば、広州観光に来たお客さんに、

・中国には象牙彫りの流派は三つあります・・・ここ広州のはその中で一番有名で、1915年にパナマで行われた万国博覧会では、広州の39層の球彫りが工芸特別賞を受賞しました。


・(四大名繍の中で)ここ広州のは鳥が有名です。特に広州の刺繍は1915年にパナマで行われた万国博覧会で高い評価を得たこともあって、非常に有名です。


・(四大料理について)「いいものを最後に残して、まず他の地方の料理について説明させていただきましょう。」という形で、広東料理についての説明を最後にする。

 

    ほかに、ウォーーミングアップにしても、吟味にしても要点の繰り返しにあたることは言うまでもない。



02

名勝案内実例


    バスガイドさん案内の熊本城(VTR4およびその後のVTRは最後の付録資料にある)



03

宿題


1.下記の中国語・日本バージョンのビデオをよく見て、話し言葉のコツを把握してください。


中国語バージョン「广州观光」(VTR5およびその後のVTRは最後の付録資料にある)

日本語バージョン「広州観光」(VTR6およびその後のVTRは最後の付録資料にある)

 

2.中国の「三大象牙彫り」について説明しなさい。

3.中国の「四大名繍」について説明しなさい。

4.中国の文房具について説明しなさい。

5.中国陶物・磁器について説明しなさい。

6.陳氏書院の建築上の特色について説明しなさい。

7.「登竜門」という伝説を紹介しなさい。

8.中国各地のプレゼントに出来る名産を覚えなさい。



付録

VTR1:https://v.qq.com/x/page/r0766iv6mbi.html

VTR2:https://v.qq.com/x/page/y077064o8ow.html

VTR3:https://v.qq.com/x/page/f0766vg3zux.html

VTR4:https://v.qq.com/x/page/g0766a75git.html

VTR5:https://v.qq.com/x/page/n0770jvj7gk.html

VTR6:https://v.qq.com/x/page/v0783jlcvjd.html



编辑 | 杨旻辰

指导老师 | 刘金举

图片 | 来源于网络

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