【月亮计划】主要负责人金智勋、李宥美专访(中日对照)

【月亮计划】主要负责人金智勋、李宥美专访(中日对照)

不爱吃海苔 日韩男星 2024-09-18 00:00:38 834

Salicylic:今天不聊乐队木柜子,来聊点别的。日本游戏媒体電ファミニコゲーマー刊登了一篇由开发了主播女孩重度依赖等游戏的独立游戏品牌“WSS playground”负责人齐藤大地为获得对独立游戏制作有益的知识而开展的次世代游戏新闻项目“Indie Intelligent Network”对月亮计划CEO金智勋和系统企划负责人李宥美的采访。着重强调是我自己加的。

(https://news.denfaminicogamer.jp/interview/240917j_cn)
(https://news.denfaminicogamer.jp/interview/240917j_jp)
ゲームでこそ私たちは「許す」ことができる。この残酷な世界の中で。ProjectMoon代表、キム・ジフン、イ・ユミ独占インタビュー
唯有在游戏中,我们才能“原谅”。在这个残酷的世界里。Project Moon的负责人金志勋(김지훈)、李宥美(이유미)独家专访


 そこは、まさにProject Moonの世界が具現化したような空間だった。
 荘厳な図書館をおもわせるシックな木板の壁、天井には車輪などをデコレーションしたあたたかな照明、床には瀟洒な革張りのソファ、そして、本棚には韓国語版の『白鯨』……どこからか、ピアノに乗って幻想的な歌声がながれてくる。見れば、アンティーク調のレコードプレイヤーでレコードがかかっていた。インディーバンドMiliによる『Library of Ruina』の主題歌「String Theocracy」だ。

 洗練極まるこれらの装飾は、海賊船をモチーフにとったという。
 その海賊船の船長こそ、キム・ジフン。学生時代にゲームスタジオ、Project Moonを立ち上げ、『Lobotomy Corporation』、『Library of Ruina』、そして『Limbus Company』と共通の世界観から成る三本のゲームをヒットさせた、韓国ゲーム業界の風雲児だ。
 苛酷で鮮烈なことで知られる〈プロムン〉作品の物語を生み出した彼はどのような道程を歩み、世界を熱狂させる物語を生み出すに至ったのか。「芸術」でもあると同時に「産業」でもあるゲーム業界の荒波において、CEOとしてどのような舵取りを行ってきたのか。
 われわれ Indie Intelligent Network 取材班は、荒々しい「船長」の登場の予感に緊張をいだきつつ、インタビューの席に座った――。
那里的空间就像是具体的Project Moon世界。
庄严的图书馆让人联想到雅致的木质墙壁,天花板上装饰着车轮等温暖的照明,地板上摆放着精致的皮质沙发,而书架上放着韩文版的《白鲸》……从某处传来钢琴伴奏的幻想般的歌声。仔细一看,原来是复古风格的唱片播放器在播放唱片。这是独立乐队Mili演奏的《废墟图书馆》主题曲《神权政治之绳》(String Theocracy)。
这些极致优雅的装饰以海盗船为主题。
这艘海盗船的船长就是金志勋。他在学生时代创立了游戏工作室Project Moon,并通过《脑叶公司》(Lobotomy Corporation)、《废墟图书馆》以及《边狱公司》这三部共享世界观的游戏大获成功,成为韩国游戏业界的风云人物。
金志勋创作了严酷而鲜明的“Project Moon”故事,他究竟走过怎样的道路才创造出令世界疯狂的故事?在既是“艺术”又是“产业”的游戏业界的惊涛骇浪里,他作为CEO又是如何掌舵?
我们Indie Intelligent Network采访团队,怀着对这位即将登场的粗旷“船长”的紧张感,坐上了采访席——。
以下の内容は『Library of Ruina』結末部のネタバレを含んでいます。あらかじめご注意ください

请注意,下文包含了对《废墟图书馆》结局的剧透。
聞き手・編集/Jini
聞き手・企画/斉藤 大地
文/千葉 集
写真/伊豫田 旭彦
受難と辛酸の少年時代
受难与心酸的少年时代 ———

キム:
 キム・ジフンと申します。Project Moon の代表で、ディレクター兼シナリオライターを務めています。弊社では『Lobotomy Corporation』(以下『Lobotomy』)、『Library of Ruina』(以下『Ruina』)、『Limbus Company』(以下『Limbus』)といったタイトルを制作してきました。本日はよろしくお願いします。
イ・ユミ:
 システム企画チームのチーム長、イ・ユミです。Project Moon の創立メンバー兼システム企画チーム長でもあります。よろしくお願いします。
金志勋(下文简称“金”):
大家好,我是金志勋,Project Moon的负责人,同时担任游戏监督和编剧。我们公司制作了《脑叶公司》《废墟图书馆》以及《边狱公司》等游戏。请大家多多关照。
李宥美(下文简称“李”):
大家好,我是游戏系统企划团队的负责人李宥美,同时也是Project Moon的创始成员之一。请多多指教。
――WSS Playground 代表の斉藤大地です。今回は Project Moon 作品の大ファンとして、そして日韓の新興ゲームスタジオの代表同士として、両面からおはなしをうかがえればと存じます。よろしくお願いします。
 まずは Project Moon のリーダーであるキムさんのライフヒストリーからお聞かせ願いたいです。どういった経緯で、ゲーム開発者の道を志すようになられたのでしょうか?

キム:
 私は1992年生まれで、今年で32歳になります。ゲームに触れたのはある幼なじみの存在がきっかけです。PCに詳しかったその子から、あるとき、「Steam というところに、『Counter-Strike』や『Half-Life』といったおもしろいゲームがあるよ」と教えてもらったのが最初のゲーム体験でした。特に、そこで出会った『Half-Life』は私の人生に大きな影響を及ぼしました。
 並行して、映画もよく観ていました。レンタルビデオ店に通い、週二、三本のペースでかたっぱしから借りていました。中学生のころは、ほぼゲームと映画漬けだったようにおもいます。
——我是WSS Playground的负责人齐藤大地。今天我希望以Project Moon作品的超级粉丝以及日韩新兴游戏工作室的负责人的双重身份进行交流。请多多指教。
首先,我想了解Project Moon的领导者金先生的个人经历。您为什么会走上游戏开发者这条道路呢?
金:
我出生于1992年,今年32岁。是一个儿时的玩伴带我接触到游戏。他对电脑很了解,有一次告诉我,“在一个叫做Steam的平台上有《反恐精英》(Counter-Strike)和《半条命》(Half-Life)这些有趣的游戏。”这是我第一次体验游戏。其中,《半条命》对我的人生产生了巨大的影响。
我也常看电影。常去录像带出租店,每周借两三部电影。中学时期,我几乎是沉浸在游戏和电影的世界里。
──子どものころから様々な作品に触れてこられたわけですね。Project Moon 作品には日本人として親近感をおぼえる部分が多々ありますが、日本の作品にも触れたことはあるのでしょうか。

キム:
 もちろん。日本のゲームやアニメは大好きです。
 もともと『新世紀エヴァンゲリオン』なども観てはいたのですが、ハマる決定打になったのは中学時代に出会った『天元突破グレンラガン』。この作品をきっかけに、日本のアニメ全般を調べて掘っていくようになりました。『涼宮ハルヒの憂鬱』、『ゼロの使い魔』、『らき☆すた』。ドラマでは『バンビ〜ノ!』や『電車男』、『花より男子』といったあたり。とにかく、むさぼるように観ましたね。
 ハマったきっかけこそ『グレンラガン』でしたが、好みとしてはラブコメや「日常系」と呼ばれるジャンルのほうだったでしょうか。私は世界の存亡を賭けたような大仰なアクションではなく、生活に根ざした会話や軽口の応酬に惹かれる性分です。
 その嗜好はゲームでも変わりません。日本のゲームはそうした会話のやりとりがよいですよね。たとえば、『テイルズ・オブ・デスティニー』の工夫されたきめ細かなセリフはいまでも深く印象に残っています。
——您从小就接触了各种各样的作品。作为日本人,我觉得Project Moon的作品有很多让我感到亲切的内容。您也接触过日本的作品吗?
金:
当然。我非常喜欢日本的游戏和动画。
我之前也看过《新世纪福音战士》(新世紀エヴァンゲリオン)等作品,但真正让我沉迷的是在中学时期接触到的《天元突破 红莲螺岩》(天元突破グレンラガン)。这部作品让我开始深入了解和挖掘日本的动画,包括《凉宫春日的忧郁》(涼宮ハルヒの憂鬱)、《零之使魔》(ゼロの使い魔)、《幸运星》(らき☆すた)等。在电视剧方面,我喜欢《料理新鲜人》(バンビ〜ノ!)、《电车男》和《花样男子》(花より男子)等。总之,我没有节制地找这些作品看。
虽然我是从《天元突破 红莲螺岩》开始沉迷的,但我更感兴趣的是恋爱喜剧和“日常系”等作品类型。我对那种关乎世界存亡的宏大动作片兴趣不大,更喜欢生活中的对话和轻松的玩笑。
在游戏中也是如此。日本游戏非常善于处理对话。例如,《命运传说》(テイルズ・オブ・デスティニー)中精心设计的台词至今让我印象深刻。

──『Limbus Company』 のメインキャラたちは、いずれも有名な世界文学から採られていますよね。文学方面も昔からたしなまれておられたのでしょうか?

キム:
 もちろん、『Limbus』でオマージュされているのは、いずれも私にとって枕頭の書といえる作品ばかりです。文学には子どものころから親しんでいまして、児童向けの名作文学全集に始まり、教養に憧れていたティーン時代には古典を読みふけっていました。
 文学作品でベスト3をあげるとしたら、村上春樹の『ノルウェイの森』、ヘルマン・ヘッセの『デミアン』、アルベール・カミュの『異邦人』。
 特に『デミアン』は、精神的に不安定だった思春期のころに読んで救われた一冊です。希望を持ち続けて生きようという気にさせてくれました。今でも折々で読みかえしますね。
 『異邦人』は、背伸びして読んだ中学生時代には歯が立たなかったのですけれど、それでもふしぎと「この本をいつか理解したい」という欲求を抱きました。そうして周辺の書物や解説を読み漁る過程で実存主義に出会い、それが哲学に対する興味の入口にもなりました。
——《边狱公司》的主要角色都取材于世界文学名著。您从小就对文学有兴趣吗?
金:
当然,《边狱公司》中致敬的都是我视为枕边书的经典作品。我从小就喜欢文学,最初是阅读儿童版的文学名作全集,到了向往知识的青少年时期,我开始如饥似渴地阅读经典文学。
如果要列出我最喜欢的三部文学作品,那就是村上春树的《挪威的森林》(ノルウェイの森)、赫尔曼·黑塞(Hermann Hesse)的《德米安》(Demian)以及阿尔贝·加缪(Albert Camus)的《局外人》(L’Étranger)。
尤其是《德米安》,在我精神不稳定的青春期,是阅读这本书拯救了我。它让我有了继续怀抱希望生活下去的动力。至今我仍会时不时地重读它。
我在中学时期勉强地读过《异乡人》,虽然当时还不能理解书中的内容,却很奇妙地产生了“想要有一天理解这本书”的想法。后来在阅读相关书籍和解说的过程中,我接触到了存在主义,这也使我对哲学产生了兴趣。
──ゲーム、映画、文学と、ほんとうに幅広いフィクションに熱中してこられたことが、現在の創作の基盤になっているわけですね。

キム:
 これを公の場で明かすのは初めてですが……幼少期に私は、母から心理的・身体的な虐待を受けていました。
 そんな私にとって、フィクションとは、つらい現実から別の世界へ逃れるための手段でもあったのです。同時に、物語を通じて人間的な感情や家族のありかたを学んだようにもおもいます。さきほど言った、なにげない日常会話のシーンに惹かれる傾向も、そうしたところに由来しているのかもしれません。
 子どものころは、とにかく早く実家から出ていくのが夢でした。ゲーム制作も、両親のもとに戻りたくない一心で打ち込んでいましたね。失敗して絶望に打ちのめされることが何度もあったのですが、そのたびに心の深いところで私をつなぎとめている怒りのようななにかが噴き上がり、私を立ち上がらせてきました。
 幼いころの昏い、苦しみの記憶。それが私の創作のベースです。
──游戏、电影、文学……您热衷于各类虚构作品,这些都是您如今创作的基础呀。
金:
这是我第一次在公开场合透露……我小时候在身心层面遭受了母亲的虐待。
于我而言,虚构作品是一种逃避痛苦现实的手段,它让我可以进入另一个世界。同时,我也通过故事学会了人类的情感以及家庭的意义。我刚才提到的对日常对话场景的喜爱,可能也源于这些经历。
我小时候的梦想是尽快离开家里。之所以全身心投入地到游戏制作中,也是因为不想回到父母身边。尽管多次遭遇失败、感到绝望,但每次我都会在内心深处涌起一股愤怒般的情感,将我重新振作起来。
童年时那些晦暗、痛苦的记忆,正是我创作的基础。

──しかしProject Moon作品の魅力はなんといってもその物語です。悲劇的でありながら、どこか前向きな希望を残します。

キム:
 私は、暗い人生のなかで希望の光を灯すような美しい人間讃歌を追い求めます。
 たとえば、『Ruina』を開発するにあたっても、アンジェラとローラン、この2人のキャラクターに深く感情移入し、辛い過去を乗り越えられるようにプロットを執筆していました。
 発売後『Ruina』を遊んだプレイヤーから、「アンジェラの行動が急すぎる」といった声も寄せられました。これは、私自身も意識していなかったことでしたが、私の心の中にあった過去を乗り越えたいという祈りが、ひょっとすれば2人にとっての希望となって反映されていたせいかもしれません。
──然而,Project Moon作品的魅力主要源自故事。尽管充满悲剧色彩,但总会在某处留下一丝积极的希望。
金:
我追求的是在黑暗的人生中点燃希望之光的美丽人性赞歌。
比如,在开发《废墟图书馆》的过程中,我全身心地投入安吉拉和罗兰这两个角色,写下了他们如何克服痛苦过去的情节。
《废墟图书馆》发售后,有些玩家反馈说“安吉拉的行为太急躁了”。这是我没有意识到的。或许是因为我内心深处渴望克服自己的过去,这种愿望最终反映在了他们二人的身上。
──正直、私も『Ruina』をプレイしていたとき、アンジェラに性急さを感じることはままありました。しかし、なにかアツいものに押し流されていったというか、アンジェラという巨大な存在にとまどいつつも、共感をおぼえ、最後には「許したい」とまでおもわされてしまった。
 これをお訊ねするのは無粋かもしれませんが……アンジェラというキャラクターは何を象徴しているのでしょうか?

キム:
 「プレイヤーが許しを与えられる存在」です。
 これはあくまで私個人の話となりますが、先ほど話したとおり、私は母親から虐待を受け、それが大きなトラウマとなりました。そのため今も、私は母親を許すことができていません。しかし、私もいつかは許しの境地に至りたいという希望もある。こうした「本当は許せない、しかし許したい」という葛藤は、きっと私だけではなく、多くの方が少なからず経験されたことだと思います。アンジェラとローラン、より厳密には『Ruina』の物語やキャラクターに託したテーマの一つが、まさにその「許し」を巡る葛藤でした。
 同時に、アンジェラ自身もまたプレイヤーの願いを表象しています。ずばり、この世界は不正に満ちている。しかし、そうした不正を一つずつ解決していこうとしても、また新たな問題がつぎつぎと噴出し、いずれ人々は「どうせ世の中はよくならないんだ」と諦念を抱いてしまいます。アンジェラもまた、作中世界の現実に打ちのめされた女性です。
 こうした世の不正に打ちのめされ、そして性急になった女性を、果たして許すか、許さないか。この問いを投げる対象が、アンジェラなのです。

Jini:
 まず、大変個人的なお話をお聞かせくださり、ありがとうございます。その上で、差し出がましくも私個人の話もさせてください。実は私の友人にもProject Moonのファンがいますが、そのうちの1人は家庭内暴力を受け、日本のシェルターでの暮らしを余儀なくされた経験のある女性でした。あくまでキムさんの経験は作品のごく一部に反映されたものに他ならないと承知しておりますが、あえていいますと、同じような境遇で苦しむ人間が世界中におり、そうした彼ら彼女らにとってキムさんの作品が救いになったことは、あらためてお伝えしたく思います。

キム:
 作品にパーソナルなつながりを感じていただけたのは、たいへんありがたいことです。あくまで私の経験は、他のクリエイターの方と同じく、創作の上で部分的に反映されたものに他ならず、特定のテーマや人々の共感を意図的に狙っていたものではありませんが、自分の奥底にあったものを自分の書きたかった形で伝えることができた結果なのだと思います。
 私どもも世界中のファンからさまざまな声を頂戴しますが、そのなかには家族についての問題を重ねられる方もおられますし、それ以外の辛い記憶を重ねる方もいらっしゃいます。そうしたプレイヤーたちから「元気づけられた」と言葉をかけていただけるのは、ほんとうに嬉しいことですし、やりがいを感じます。

──坦白说,我玩《废墟图书馆》的时候,也觉得安吉拉有些急躁。然而,这种急躁感仿佛被某种热烈的东西推动,尽管对安吉拉这个庞大的存在感到困惑,我还是对其产生了共鸣,甚至“想要原谅她”。
或许我的问题有点冒昧……安吉拉这个角色象征了什么呢?
金:
安吉拉是“可以给予玩家宽恕的存在”。
这是我个人的故事。如之前所说,我曾遭受母亲的虐待,这对我造成了极大的创伤。即使现在,我依然不能原谅她。然而,我也希望有一天能够达到宽恕的境界。我相信,这种“其实无法原谅,但又想要原谅”的情感纠葛,不仅属于我一个人,许多人或多或少都有类似的经历。安吉拉和罗兰,或者更准确地说,《废墟图书馆》的故事和角色所承载的主题之一就是是否“宽恕”的内心纠葛。
同时,安吉拉也象征着玩家的愿望。毫无疑问,这个世界充满了不公。然而,就算逐一解决这些不公,也会不断地涌现出新问题,最终人们会陷入“反正世界不会变好”的绝望中。安吉拉也是一个在游戏世界的现实中被击倒的女性。
面对这样一个受到世间不公的打击,并因此变得急躁的女性,玩家会否选择宽恕她?这个问题正是安吉拉抛给玩家的。
Jini:
首先,非常感谢您与我们分享如此私人的经历。我也斗胆分享一些我自己的故事。我有一位朋友是Project Moon的粉丝,她也曾历过家庭暴力,被迫在日本的收容所里生活。我当然明白金先生的经历只是部分地被反映在作品里,但我还是想说,世界上有许多人遭受着类似的困境,您的作品对他们而言,确实有救赎的效果,我想说的就是这些。
金:
非常感谢大家从我的作品中感受到与自身的联系。我的经历只是像其他创作者一样被部分地反映了在创作中,也不是为了刻意在特定主题或人群中产生共鸣,但我认为,这正是我通过写作表达内心深处想法的结果。
我们也从世界各地的粉丝那里收到了各种各样的反馈,其中有些人会将家庭问题与作品联系在一起,也有人将其他痛苦的记忆与之相连。听到这些玩家说“被鼓舞了”,让我感到非常高兴,也让我觉得这份工作意义重大。

──「許すこと」や「許さないこと」をプレイヤーが選ぶというのはゲームでなくては語れない体験だと思うですが、それはどのくらい意図して作ったものなのでしょう?

キム:
 「許すか、許さないか」は『Ruina』の劇中で唯一存在する選択肢です。私にとってもおおいに悩ましい問題でもあったからこそ、プレイヤーのみなさんにも真剣に考えていただきたいという思いから、選択肢の形式にしました。
 私個人の答えとしては、「許す」が正しい選択肢です。怒りを抱いたまま進んでしまったら、世界に残されるのは悲劇だけだとおもいます。しかし、一方で我が身を振り返ると「許せていない」自分がいる。許しとは、どれだけ辛く、難しいものか。
 だからこそ、プレイヤーの皆さんに「あなたはどうですか?」と問いかけたかった。選択肢はプレイヤーに能動的な行動を強いるものです。選択肢があるからこそ、そこに問いが生じます。その問いに対して、プレイヤーは答えを出さねばなりません。

──让玩家选择“原不原谅”,这是游戏之外的媒介无法传达的体验。请问这是您在设计游戏时有意为之的吗?
金:
“原不原谅”是《废墟图书馆》里唯一的一次选择。这正是困扰我的问题,所以我希望玩家们也能认真思考这个问题,所以才将它设计为一个选择项。
我个人的回答是,“原谅”是正确的选择。如果怀着愤怒前行,留给世界的只能是悲剧。不过,反躬自省,我还是做不到“原谅”。原谅是多么痛苦、多么困难的一件事啊。
正因如此,我想向玩家提出这样一个问题:“你会怎么做?”游戏的选择项迫使玩家主动采取行动。正因为有了选择,才会出现问题。而面对这个问题,玩家必须给出自己的答案。
──アンジェラたちはそうした選択のあと個人の問題を乗り越えていき、社会に翼や都市といった対象に強い敵対を表明していくところがあると感じました。都市が不信感や、貧困、憎悪に満ちた場所として描かれているのには、なにか理由があるのでしょうか?

キム:
 ここでも、私の個人的な世界観が投影されているのだと思います。
 私は臆病で、人間不信で、いつも不安にさいなまれている人間です。この世の中は弱肉強食でなりたつ酷薄な世界なのだと、つい、物事を斜に見てしまいます。
 人間同士の関係にしても、一時的には良い関係になれるかもしれないけれど、利害関係によってすぐ裏切られてしまうかもしれない。寂しい場所で見捨てられてしまうかもしれない。
 いやしかし、どこかでそんな世界にも温かさや愛はあるはずと信じたい。でも、信じられない……。私の世界とは、そうした相反する感情が入り混じった世界です。

 私は韓国の都市部に生まれ育ってきました。だから、舞台も都市が中心になりがちですし、自分では意識しないまでも韓国的な物の見方や考え方が反映されているかもしれません。
 グローバルなコンテンツとして、多様な視点を反映できていないのではないか、という不安はつねにあります。が、私は総じて、見たものでなければ描けません。よしんば描けたとしても、得心がいきません。それでは描けていないのも同然です。
 私が影響を受けた作家のひとりに、ホルヘ・ルイス・ボルヘスがいます。ボルヘスには大学時代に出会いまして、そのときにマジックリアリズム的な世界構築の方法を学びました。
 自分の眼に見える範囲での日常的な単語や環境を用いつつ、現実とフィクションの境目を曖昧にして、プレイヤーをいつのまにかファンタジックな世界に巻き込む。そうすることで、私の個人的な感覚をひとつの世界観としてプレイヤーのみなさんと共有できるわけです。
──安吉拉他们做出选择后,似乎克服了个人的问题,并对城市等事物表达了强烈的敌意。那么,把都市描绘成充满不信任、贫困和仇恨的地方,有什么特别的原因吗?
金:
这也是我的个人世界观的投射。
我是一个胆小、对人类缺乏信任、总是被不安困扰的人。我常以一种消极的眼光看待事物,认为这个世界是一个弱肉强食、残酷无情的地方。
即使人与人之间可能短暂地建立起良好的关系,但利益关系可能很快就会导致背叛。你可能会被抛弃在孤独的地方。
尽管如此,我还是相信在这个世界的某个地方存在着温暖和爱。但与此同时,我又无法真正地相信……我的世界就是这样一个充满矛盾情感的混合体。
我出生和成长在韩国的城市里。因此,我的作品往往以城市为中心,即使这是无意识的安排,但这可能反映了韩国特有的视角和思维方式。
作为一个全球性的内容创作者,我总是担心自己的作品无法反映多元化的视角。然而,我通常只能描绘自己的所见之物。即便我尝试去描绘那些我未曾见过的东西,也无法做到得心应手。这其实等于什么都没有描绘。
豪尔赫·路易斯·博尔赫斯(Jorge Luis Borges)是对我影响最大的作家之一。大学时我接触到他的作品,从中学到了魔幻现实主义的世界构筑方法。
通过使用日常生活中熟悉的词汇和环境、模糊现实与虚构的界限、逐渐将玩家引入一个充满幻想的世界,我能将个人的感受转化为一个完整的世界观,并与玩家们分享。
人との出会い、Projcet Moonの黎明
人们的相遇,Project Moon的黎明 ——
──さっそく、創作の核心とも言えるお話をお聞かせいただきました。そのうえで、あらためてキムさんがProject Moonを創設し、今のように発展させてきた経緯をお聞かせください。

キム:
 中学3年のとき、自分自身に訊ねてみたのです。「お前には何か、人生に対する意欲はあるのか」と。どうせなにかをやらなければならないのなら、自分の好きなことを仕事にしたい。私の好きなことは「物語を作ること」です。物語を伝える媒体は多くありますが、とりわけゲームがいちばん好きでした。
 直接のきっかけになったのは、韓国の『アークトゥルス』という作品です。
 このゲームは二部構成で、途中に大きなどんでん返しが仕込まれています。第一部でファンタジーとして描かれていた世界が、第二部ではディストピアSFに変わるんですね。この仕掛けに新鮮な衝撃を味わい、ゲームのストーリーテリングの可能性に気づかされました。こんな感動を表現できるなら、とおもい、ゲーム業界に入ることを決意したのです。
──刚才我们聊到了创作的核心内容。现在能否请您谈谈Project Moon的创立与发展过程?
金:
在中学三年级的时候,我问过自己:“你对人生有什么热情吗?”既然注定要做点什么,那我希望能把自己喜欢的事情当成工作。我最喜欢的事情就是“创造故事”。虽然传递故事的媒介有很多,但我最喜欢的还是游戏。
让我走上游戏之路的契机是一部叫做《星尘物语》(악튜러스)的韩国游戏。
这款游戏由两部构成,中间有一个巨大的反转。第一部描绘的是奇幻世界,第二部变成了敌托邦的科幻世界。这个设定给了我巨大的冲击,也让我意识到游戏在叙事方面的可能性。于是我也想要创作出这样感动人心的作品。所以我决定进入游戏业。
──進学先もゲームに関係するようなところを選んだわけですか?

キム:
 大学ではコンピュータ工学科に選びました。まず、ゲーム業界志望ならプログラミングをやっておいて損はないだろう、という計算です。
 しかし、そこでひとつ問題にぶつかってしまいました。プログラミングに必須の数学が、致命的に苦手だったんですね。それと当時は心理学にも関心を抱いていたのですが、あいにく、その大学では心理学を学べる場が用意されていませんでした。
 結局、その学校にはなじめないまま中退し、亜洲大学のメディア学科に入り直しました。亜洲にはゲーム専門のコースやクラブがありましてね。ユミさんを含めた今のチームメンバー数名と知り合ったのも、亜洲にあったゲーム開発クラブです。

──您选择的是与游戏相关的专业吗?
金:
我在读大学时选择了计算机工程专业。我以为如果想进入游戏业,首先需要掌握编程技术吧。
然而,我遇到了一个问题——我完全不擅长编程必须的数学。此外,当时我对心理学也很感兴趣,遗憾的是,那所大学无法提供学习心理学的机会。
最终,我无法适应那所学校,选择了退学,转入了亚洲大学的媒体学科。亚洲大学有专门的游戏课程和俱乐部。包括宥美在内的几位团队成员,就是我在亚洲大学的游戏开发俱乐部认识的。
──後にProject Moonを結成するコアとなるメンバーが、もう大学で集められていたとは。

キム:
 はい。ですが最初は挫折つづきでした。プロジェクトを立ち上げては頓挫させる、その繰り返しです。
 失敗の原因は、当時の私の人格的な未熟さにあったのだとおもいます。もともとコミュニケーション能力も高くなかったこともあり、チームとうまく意思疎通を図れませんでした。
 けっきょく作品をモノにできないまま4年生になってしまい、私はこう思い詰めるようになりました。
「卒業までにゲームをひとつも完成させられないようなら、自分にはゲーム開発者を夢見る資格などないのではないか?」
 そこで覚悟を決めて、クラブからユミさんら4名のメンバーを誘い、最後の大勝負をかけました。
 それが『Lobotomy Corporation』です。

──原来在大学期间,Project Moon的核心成员就集结在一起了。
金:
是的。一开始我们经历了很多挫折。我们不断立项,又不断失败,如此反复。
失败的原因在于当时的我在性格上不成熟,以及沟通能力不强,与团队的沟通不够顺畅。
到了大四,我们的作品依然没有取得实质性的进展,于是我开始钻起了牛角尖。
“如果在毕业前连一个游戏都做不出来,我还有资格梦想成为游戏开发者吗?”
于是我下定决心,邀请包括宥美在内的四名俱乐部成员,发起最后一次努力。
这最后的项目就是《脑叶公司》。
──キムさんが在学中に困難に見舞われる様子を、ユミさんも傍らからご覧になっていたわけですよね。ユミさんの視点からはキムさんはどのように映っていましたか?

イ・ユミ:
 おなじクラブに属していたといっても、大学2年くらいまでの私はUnityを使ってひとりで制作してきたので、キムさんとのかかわりも薄いものでした。彼の七転八倒を、外側から遠巻きに見ている感じでしたね。
 初めて彼のチームに携わったのは『Lobotomy』のときです。
 当時の私にとって、『Lobotomy』は卒業制作のつもりでした。というのも、卒業後は、ふつうに既存のゲーム会社へ就職しようとしていたんです。韓国のゲーム会社はポートフォリオを重視します。なので、採用担当に印象づけられるような卒制を作ってやろう、と、そうしたモチベーションでいました。
 ところが……彼は自分でゲーム会社を立ち上げようとしていたんですね。

──宥美小姐一直在金先生的身边看着他经历大学时的困难。从宥美小姐的角度看来,当时的金先生是怎样的状态呢?
李宥美:
虽然我们同属于一个俱乐部,但在大二之前,我主要是自己运用Unity进行创作,所以和金先生的接触不多。我更多是从旁观者的角度远远地看着他起起落落。
我第一次参与他的团队是在《脑叶公司》项目的时候。
对当时的我而言,《脑叶公司》意味着毕业作品。我原本打算毕业后去一家普通的游戏公司就职。韩国游戏业非常重视作品集。所以,我的目标是做一个能让招聘负责人印象深刻的毕业作品。
然而……他却打算自己创立一家游戏公司。

──アハハ。自信満々だ。
キム:
 自信はありませんでしたよ。それまでは失敗つづきでしたから。『Lobotomy』もユーザーの興味を惹ける作品なのかどうか、むしろ不安でした。
 成功を予感しはじめたのは、Tumblbugでクラウドファンディングを募ったときです。
 460人以上から1300万ウォンをバックしていただきました。当時のわれわれからすれば、大反響かつ大金といえます。この結果を受けて、私を含めたチーム全員が「このゲームは行けるぞ」と確信できるようになりました。そうして、2016年に Project Moon法人化へと移ったのです。
──哈哈,真是充满自信呢。
金:
我当时没什么自信,因为之前的项目都失败了。我反而对《脑叶公司》能否吸引用户感到不安。
让我开始感到有望成功的是,我们通过Tumblbug进行众筹的时候。
我们得到了超过460人的支持,筹集了1300万韩元(约合7.5万元人民币)。对于当时的我们来说,这是一个巨大的反响和一笔不小的资金。正是这个结果让包括我在内的团队成员确信:“这个游戏可以成功!”于是,我们在2016年将Project Moon正式注册为公司。

──ところで、ユミさんはキムさんの隣で、創業当初から Project Moon を支えてこられたと聞きました。会社の中でのユミさんの役割を教えてください。
キム:
 イ・ユミ氏はProject Moonにおける炭鉱のカナリアのような方です。ストーリーやアートの初期のアイディアに対して、彼女がどんな反応を示すかは作品作りで大きな参考になります。もちろん、必ずしも彼女の意見だけが全てではなく、私のわがままで押し通すこともありますけれど。
 私個人にとっては、ときにいがみ合いつつも、ずっとそばに居続けてくれた、大事なパートナーです。昔は、私の言うことをわかってくれていないといういらだちもあったのですが、最近では遺漏なく通じ合うことができています。

イ・ユミ:
 ほんとうに、大学時代はお互い意地っ張りで、ケンカが絶えませんでしたね。いろいろあったな……いまはふたりとも大人になったとおもいます。
──顺便问一下,我听说宥美小姐从创业之初就一直在金先生的身边支持Project Moon。能否介绍一下宥美小姐在公司中的角色呢?
金:
李宥美小姐在Project Moon里就像是“煤矿中的金丝雀”。她对游戏故事和美术的初期构想的看法,在游戏创作的过程中起到了重要的参考作用。当然,并不是只有她的意见才重要,有时候我也会坚持自己的想法。
对我个人而言,虽然我们有时会有争执,但她一直在我身边,是我非常重要的伙伴。过去我常感觉她不能完全理解我的想法,这让我有些沮丧,但现在我们已经能够无缝地交流了。
李:
确实,我们在大学时代都很固执,经常吵架。经历了很多事情……我想现在我们都成熟了。
──ユミさんから見た会社でのキムさんの印象はどうですか?

イ・ユミ:
 絶対の君主、でしょうか。彼はこの会社や作品世界をひとつにまとめる、巨大な意志のような存在です。

 フロム・ソフトウェアでは、宮崎英高氏の考えた話を別のシナリオライターたちが聞き書きしていく、まさに神託を伝えるかのような開発体制だと聞いたおぼえがあります。
 キムさんのスタイルもそれと似ています。彼の書いたシナリオやプロットを見て、ライターたちがセリフやシチュエーションの文脈をうまく補いつつ、自分たちなりのイマジネーションによって膨らませていくんです。
 こうした複数的なプロセスでできあがった物語であるために、プレイヤーもまた解釈に参加できる余地が生まれているのではないでしょうか。
──宥美小姐,您如何看待金先生在公司中的角色?
李:
绝对的君主吧。他是将这家公司和作品世界统一起来的巨大意志。
我听说宫崎英高先生在From Software的开发体制是由编剧聆听并记录他的想法,就像在传达神谕一样。
金先生的风格与此相似。他写出剧本或情节后,编剧们会补充台词和情境,并通过自己的想象力加以扩展。
正因为这种多层次的创作过程,玩家在体验故事时也有了更多参与解读的空间。
──文脈を補完していく、というのは、キムさんのなかで決まっていない余白を埋めていく、といった感じですか?

キム:
 たとえば、ボスキャラクターを不気味で恐怖を与える存在にしたい、と考えたとします。私がだいたいのイメージの方向性を練って、ユミさんたちに手渡し、彼女らがそのボスの持つスキルパターンやスキルの名称を固めていく流れになります。
 さらにその後、シナリオチーム、演出チーム、アートチーム、SDチームにて、それぞれのチーフとチームメンバーの皆さんが、私のお願いした方向性をもとに作業を展開していただき、作業過程と結果をチェックしてフィードバックしながらゲームが作られます。
 ──补充的是金先生没有明确定义的部分吗?
金:
举个例子,如果想创作一个令人恐惧的Boss角色,我会先大致确定这个角色的设计方向,然后交给宥美小姐们,她们会进一步完善这个Boss的技能模式和技能名称。接下来,剧情团队、演出团队、美术团队、SD团队的负责人和成员会根据我提出的方向展开工作。在此过程中,我会检查他们的进度和成果,并提供反馈,最终完成游戏的制作。

成功、そして変化。
成功,以及变化 ———
──さて、『Lobotomy』はProject Moon初の成功的な作品だったと思いますが、販売当初の反響はどうでしたか?

キム:
 売上的なブーストが初めてかかったのは、有名なYouTuberさんが実況してくださったときです。そのときは一挙に数千本ほど売れました。
 しかし、好調は長続きせず、徐々にジリ貧になっていきました。低調な時期はもう、セールスの数字を見るのさえ苦痛でしたね。
──《脑叶公司》是Project Moon第一款取得成功的作品,当时的市场反响如何?
金:
游戏销量第一次大幅增长是因为一位有名的YouTuber进行了实况直播(转载者注:说的应该是jacksepticeye播legacy版本的脑叶的事情)那时我们一下子卖出了几千份游戏。
然而,这种好势头并没有持续太久,游戏销量开始下滑。在低迷时期,甚至看销售数据都会让我感到痛苦。
──わかります。私も『NEEDY GIRL OVERDOSE』の開発途中で資金が尽きて銀行から借金したときは、体重が7キロも減りました。

キム:
 まさしく。我々も、いよいよ来月には会社の口座がカラになるというタイミングで、Steam に「これ以上の制作継続は困難なので、クラファンでお約束していたコンテンツを実装したら、それ以上の開発は行いません」とアナウンスを出しました。
 正直、このときは「もう終わりだな」という気分でした。
 しかし、そのアナウンスで運命が変わった。
 『Lobotomy』を惜しんだファンのみなさんが、自発的に宣伝へ動いてくださったのです。韓国、中国、日本、アメリカ、ロシア……各国のファンコミュニティが、SNS上で作品をおすすめしてくれたり、ゲームを余分に買ってお友だちに配ったり……。
 そうした温かい支援のひろがりによって、セールスが救われた。おかげで、苦しい時期をどうにか乗り切ることができたんです。
──非常理解。我在开发《主播女孩重度依赖》(NEEDY GIRL OVERDOSE)时,也经历过资金耗尽、不得不向银行借款的艰难时刻,那时我的体重还掉了7公斤。
金:
的确。我们也曾面临这样的困境,甚至到了公司账户在第二个月就要见底的时刻。当时我们在Steam上发布了一则公告,表示“由于经费困难,我们将仅完成众筹承诺的内容,不会再进行更多的开发”。
说实话,那时我真的觉得“一切都要结束了”。
然而,这个公告改变了我们的命运。
《脑叶公司》的粉丝们开始主动为我们进行宣传。他们在韩国、中国、日本、美国、俄罗斯等各国的粉丝社区、社交媒体上推荐我们的作品,有些粉丝甚至购买多份游戏送给朋友……。
正是这种温暖的支持拯救了我们的销售,让我们得以度过难关。
──ファンから愛されるゲームだったからこそ、ファンの愛に救われた。うつくしいエピソードだとおもいます。特にどの地域で売れたのでしょう?

キム:
 特にヒットしたのは中国でしょうか。特定の国や言語圏を意識したマーケティングは行わなかったのですが、テイストがマッチしたようです。
 『Lobotomy』は当初、『アドベンチャー・タイム』のようなアメリカ的なカートゥーン路線で行くつもりだったのですが、あまりしっくりこなかったのでやりなおした経緯があります。
 そのときにアジア的なアニメーション色を強めに打ち出したのですが、それはマーケティング上の意図というより、私のクリエイションの感性に沿っての変更です。結果として日本や中国といった東アジア圏にも訴求できる形になったのは、幸運でした。

──因为这是一款受粉丝喜爱的游戏,所以最终也是粉丝的爱拯救了它。这真是一个美丽的故事呀。那么,游戏在哪些地域销售得最好呢?
金:
应该是中国吧。虽然我们没有针对某个国家或语言地区进行营销,但我们的作品似乎与那里玩家的口味非常契合。
《脑叶公司》最初计划走类似《探险活宝》(Adventure Time)那样的美式卡通路线,但我们后来发现这种风格并不合适,所以进行了调整。
在此过程中,我们强化了亚洲动画的风格,但这更多是出于我个人的创作感性,而非营销策略。最终,游戏在日本和中国等东亚地区引起了共鸣,这真的非常幸运。
──『Lobotomy』の成功以降も、『Ruina』、そして『Limbus』と一作ごとに成功をおさめ、そのたびに会社の規模もステップアップしていったかとおもいます。
 節目ごとにチームが発展していった経緯と、規模に応じたマネジメントの方法論の変化などを教えていただきたい。

キム:
 先にも申し上げました通り、大学時代に『Lobotomy』のチームを立ち上げたときのオリジナルメンバーは4名でした。そのあとに学校の内外から何名かをリクルートしていき、最終的には9名でゲームを完成させました。
 最初は手探りで人材を集めていましたね。公開で求人を出すのはもちろん、近隣の大学までいって適したひとを探したり、知り合いの紹介を頼ったり……なかには、学園祭のときにおもしろいアートを展示しているのを見て採用につながった例もありました。
 二作目の『Ruina』のときからは、Gamejob という韓国のゲーム業界向け求人サイトを通して主に採用するようになりました。20名ほどの規模になりましたかね。今でも継続的に利用させていただいています。
 現在は、50名ほどが『Limbus』の運営に従事しています。

──《脑叶公司》成功后,《废墟图书馆》和《边狱公司》等作品都取得了成功,公司规模也在逐步扩大。
能否谈谈团队在每个关键节点上的发展,以及随着团队规模的变化,团队的管理方法相应发生的变化?
金:
如前所说,我们在大学时代组建了《脑叶公司》团队,当时的初创成员只有4人。随后,我们在学校内外进行招聘,最终团队人数增加到9人,并成功完成了这款游戏。
一开始,我们通过各种方式招聘人才。除了公开发布招聘信息,我们还会到附近的大学寻找合适的人选,甚至有时会通过朋友介绍……有一位成员就是在学校的学园祭上展示了有趣的美术作品后,被我们注意到并招入团队的。
到了第二部作品《废墟图书馆》的时候,我们主要通过韩国游戏行业的招聘网站Gamejob进行招聘。那时团队规模扩展到了大约20人。直到现在,我们仍然在使用这个招聘平台。
目前,我们的团队已发展到大约50人,主要负责《边狱公司》的运营。
──8年ほどのあいだに4名から50名のチームに成長していったわけですね。当然マネジメントや、ご自身の業務も変化していったことかとおもいますが。

キム:
 私はもともと、チームメンバーを書類上の数字としてではなく、それぞれひとつの人格として捉えていきたいと考えていました。
 なので、なるべくこまやかにコミュニケーションをとって、メンバーたちと密な関係を築けるように気を配っていたんですね。しかし、メンバーが20名を超えたあたりから、どうもキャパシティを超えはじめた。

イ・ユミ:
 昔の彼は、とにかくマイクロマネジメントにこだわっていました。他人のやりかたでどうにかなるよりは、自分のやりかたでしくじるほうがまだマシといった勢いで、なにもかも掌握していないと気がすまない様子でしたね。
 リテイクを出す回も多かったです。けっこう進んでいる工程でも、気に入らないとなると最初からやりなおし。ひどいときは、UI担当の隣に座ってピクセル単位で指示を出していましたね。
キム:
 そうした無理が祟り、やがて自分の心身が弱ってしまいました。 
 異変が起きたのは、『Limbus』をリリースする前の時期だったでしょうか。
 シナリオについてチームに改善点を伝えている最中にとつぜん、左目の裏側に耐え難いほど強烈な痛みをおぼえました。
 即座に病院へ駆け込み、MRIを撮ってもらいました。しかし、どこにも異常は見当たりません。けっきょく、「ストレス性」との診断がくだされました。脳卒中寸前までいっていたそうです。
 これほどまでに精神的な重圧を受けていたのか、と自分でもおどろきました。その件をきっかけに働き方を考えるようになり、もっとチームメンバーを信じて頼るよう意識を切り替えていったんです。
 現在では、一人で抱え込まず、業務上の判断を各チーム長になるべく任せるようになったとおもいます。

イ・ユミ:
 キムさんの方向転換を受け、私もチーム長の役割に本格的にコミットしなければならなくなりました。しかし、管理に時間をとられると実務をやる時間が減ってしまいます。そのぶんを埋め合わせるために、私もチームメンバーに自分の仕事を分担させていくようになりました。
 結果的に、社内での職務分掌にうまくつながりましたね。

──在大约8年的时间里,你们从4人团队发展到了50人团队。毫无疑问,团队管理和你自己的工作也发生了变化吧。
金:
我一直希望把团队成员看作独立的个体,而不是把他们当作纸面上的数字来对待。
因此,我会尽量与成员保持细致的沟通,努力与他们建立紧密的关系。然而,当团队人数超过20人时,我开始感到有些力不从心。
李:
以前的他特别执着于细节管理。他似乎觉得,与其让别人用他们的方式来做,不如自己用自己的方式来犯错。于是他必须掌控一切才会安心。
他经常要求返工。有时候,即使工作已经进展得相当顺利,只要他不满意,就会从头开始。最夸张的时候,他甚至会坐在UI负责人的旁边,逐像素地进行指导。
金:
由于工作过度,我的身心也变得脆弱。
大概是在发布《边狱公司》之前,我的身体起了异常变化。
在向团队传达剧本的改进意见时,我的左眼内侧突然出现了难以忍受的剧烈疼痛。
我立刻去医院做了MRI检查。然而,检查结果显示我没有任何异常。最终我被诊断为“压力过大”。医生说我几乎到了中风的边缘。
我自己也感到惊讶,没想到自己的精神压力竟然大到如此程度。以此为契机,我开始重新审视自己的工作方式,并有意识地转变心态,更加信任和依赖团队成员。
现在,我尽量不再独自承担所有工作,而是尽可能将工作上的决策交给各个团队的负责人。
李:
随着金先生的转变,我也不得不更加认真地投入到团队领导的角色中。然而,管理工作占用了我很多时间,导致用于业务工作的时间减少。为了弥补这一点,我也开始将自己的工作分配给团队成员。
结果,这在公司内部促成了更好的职务分工。
──多少緩和したといえ、キムさんは、シナリオ原案兼CEOとして、今でも大変な激務を続けておられるわけですよね。どのようなメンタル管理をされているんですか?

キム:
 自己管理している、といえるほど、うまくできているかは自信がありません。
 私は双極性障害を抱えておりまして、休日のときでさえ、不安で心が休まらない状態です。カウンセリングや服薬を数年ほど行いつつ、自分のストレスを管理する方法を模索しています。
 激務がつらいか?と聞かれれば、つらいですと答えます。しかし、私自身、そういう働き方しかできない人間です。なので、そんな自分とうまく付き合っていく必要があります。
 私にとってのいちばんのストレス解消法は、ゲームです。おもしろいゲームに没頭していると、つらいことをなにもかも忘れられて、不安も疲労も吹き飛びます。最近であれば、『ELDEN RING』などがよかったですね。
──虽然情况有所缓和,但金先生作为编剧兼CEO,现在仍进行着非常繁重的工作。您是如何进行内心管理的呢?
金:
我没什么自信说我把自己管理得很好。
我患有双相情感障碍,即使是在休息日,我也常常因为焦虑而无法放松心情。几年来,我一直在接受咨询和药物治疗,同时也在摸索如何管理自己的压力。
如果问我繁重的工作是否辛苦?我会回答,是的,很辛苦。然而,我自己就是那种只能以这种方式工作的人。因此,我需要学会与这样的自己好好相处。
对我来说,最好的解压方式是玩游戏。当我沉浸在有趣的游戏中时,所有的烦恼都会被抛之脑后,焦虑和疲劳也都会消散。《艾尔登法环》(ELDEN RING)是我最近比较喜欢的游戏。

──いいゲームしているときはすべて忘れられる……よくわかります。最近はなかなか没入できるゲームがなくて困りますが……。

キム:
 私も『ELDEN RING』のDLCを待ち焦がれている状態です。

Jini:
 ゲームといえば、Project Moon 作品にはしばしばボードゲームやカードゲーム的なデザインが見受けられます。『Library of Ruina』などは、特にそんな印象を受けました。ボードゲームもお好きなのでしょうか?

キム:
 はい、特に学生のころはボードゲームに熱中し、今も愛好しています。そもそも『Library of Ruina』というタイトルは、学生時代に友人と遊ぶために自作したTRPG『Library of Babel』に由来します。
 趣味として楽しめるのはもちろんですが、ボードゲームはビデオゲーム作りにも役に立ちます。『Ruina』を制作しているときも、毎週チームにボードゲームを勧め、そのデザインを注意深く観察し、ゲームの原則や規則を学ぶように言っていました。

──当玩到好游戏的时候,确实能忘掉一切……我非常能理解。但最近很难找到能让我沉浸其中的游戏,这确实让我有些困扰……
金:
我也在翘首等待《艾尔登法环》的DLC版本。
Jini:
说到游戏,Project Moon的作品中经常能看到类似桌游或卡牌游戏的设计。《废墟图书馆》尤其如此。您也喜欢桌游吗?
金:
是的,尤其在学生时代,我非常迷恋桌游,现在依然很喜欢。实际上,《废墟图书馆》这个标题来源于我学生时代为了和朋友们一起玩而自制的桌游《巴别图书馆》(Library of Babel)。
作为一种兴趣,桌游不仅让我乐在其中,同时也对制作电子游戏有帮助。在制作《废墟图书馆》时,我每周都会向团队推荐桌游,并让他们仔细观察这些游戏的设计,学习其中的原理和规则。

インディーゲームスタジオは投資を受けるべきか?
独立游戏工作室是否应该接受投资?——

──CEOとしての立場について、もう少しお訊きしたいです。最近、大手のゲーム会社であるDevsistersから投資を受けられましたよね。これについてはどのような判断が働きましたか?

キム:
 投資について、私には経験から学んだ教訓があります。それは「投資のオファーとは、必要なときには来ず、必要ではないときに来る」ということです。
 Devsistersからの提案を受けたときは『Ruina』が出た直後でした。その時点での販売実績はあまり良くなかったのですが、先方からの提案は戦略的投資ではなく、あくまで財務投資ということで、クリエイティブの自由は保証されていました。
 さしあたって財政的にはひといきつけますし、仮に『Ruina』が失敗して次回作の出資を募るさいも、Devsistersから投資を受けたという実績がポートフォリオになる。さまざまな面で保険として機能するだろう、という判断で投資をお受けました。
 これがもし戦略的投資――自分たちの独立性を損なうようなものであったなら、断っていたと思います。
──我想进一步了解一下您作为CEO的立场。最近,您接受了大型游戏公司Devsisters的投资。在这件事上,您是如何考虑的?
金:
关于投资,我有一条经验教训,那就是“投资的提议往往不会在你需要的时候到来,而是在你不需要的时候出现。”
当我们收到Devsisters的提议时,正值《废墟图书馆》发售。那时游戏的销售业绩并不理想,但对方的提议是财务投资,而非战略投资,他们能保证我们的创意自由。
而且我们暂时可以在财务上松一口气了,即使《废墟图书馆》失败了,在为下一个项目筹集资金时,曾从Devsisters获得投资的经历也会成为我们的履历。这笔投资可以在多个方面起到保障的作用,因此,我们决定接受这笔投资。
如果这是战略投资——即可能会损害我们的独立性的投资,我想我们会拒绝。
──ここで言う「戦略的投資」とは出資者が株式に手をつっこんで経営権をある程度握るもので、逆に「財務投資」はお金だけだしてなにも口出ししない、と理解していいでしょうか。

キム:
 そうですね。「大手のゲーム会社から投資を受けた」という報道だけだと、買収でもされたかのような印象を受けてしまうでしょう。そこは誤解していただきたくはありません。
 資金を出したのは、正確には、 Devsisters 傘下のベンチャーキャピタルです。ここの代表さんが幸いゲーム業界について理解のある方で、こちらの心配事などもよく把握しておられて、うまく事を運んでくれました。
──您所说的“战略投资”是指投资者通过持有股份来掌握一定的经营权,相反,“财务投资”则仅仅是出资而不干涉经营,可以这样理解吗?
金:
是的。“接受了大型游戏公司的投资”这一报道,可能会让人觉得我们被收购了,但我不希望大家有这样的误解。
实际上,出资方是Devsisters旗下的风险投资公司。这家公司的负责人对游戏行业有着深入的了解,他们很清楚我们的担忧,很好地推动了这次的合作。
──日本にも投資を受けるべきかどうかで悩んでいるインディー開発者が多くいます。別の会社からの資金提供について、なにかアドバイスなどはあるでしょうか?

キム:
 ケースバイケースなので難しいのですが……まず金欠の場合は否応なく投資を受けざるをえないですよね。
 しかし、そうでない限りは、経営権の一部を譲りわたすような戦略的投資やパブリッシング契約は避けたほうがよいでしょう。
 一見した条件は戦略的投資のほうが良好に見えるかもしれません。しかし、その投資を受けたあとに開発したゲームが商業的に成功した場合、自分の作品の扱いについてのイニシアチブを握れなくなることもあります。

──在日本,也有许多独立开发者在是否接受投资的问题上感到困惑。关于其他公司提供的资金,您有什么建议吗?
金:
这因情况而异,很难给出普遍的建议……首先,如果资金短缺,那就不得不接受投资了。
然而,除非是这种情况,否则最好避免那些需要让渡部分经营权的战略投资或发行合同。
从表面上看,战略投资的条件可能更为优越。然而,如果你在接受投资后开发的游戏获得了商业成功,你可能会失去对自己作品的主导权。

──極端な話、IPをまるごと横取りされるおそれがある、というわけですね。
キム:
 作品に頓着せず、すぐ次の作品の開発に移れるひとならそれもよいでしょう。ですが、私のように自分の作品を自分のものとして捉え、他人にはなるべく触れさせたくないタイプなのであれば、契約の条件はよくよく検討したほうがいい。
 自分たちから投資者を求めた場合には条件にも面倒な足かせがつきがちですから、あまりおすすめしません。
 そもそも、先ほども申し上げたとおり、出資者というのは、自分から探しているときほど見つからないものですしね。『Lobotomy』のときも、投資してくれそうな会社に何社かお願いのメールを出しましたが、どこからも返事はきませんでした。
──在极端情况下,甚至可能会出现整个IP被夺走的风险,对吗?
金:
如果你是那种对作品无所谓,能马上转到下一个作品开发的人,那也无妨。但是,像我这样把自己的作品视为自己的东西,不太想让别人随便干涉,就需要好好考虑合同的条件。
当你主动去寻找投资者时,往往会被附带一些麻烦的条件,因此不太推荐这么做。
况且,正如我刚才所说,当你主动寻找投资者时,往往很难找到。在开发《脑叶公司》时,我给几家公司发了寻求投资的邮件,但都石沉大海。
──私も出資側としての立場からクリエイターにお金を出すことはありますが、自分から投資を欲しがるようなクリエイターには投資しません。「もらってやるよ」というくらいの態度でなくちゃ、こっちもお金を出したくない。

キム:
 私自身、だれかの風下に立ちたくない人間です。これまでも買収の提案は何度かありました。しかし、会社を売って大金を手にしたところで、その金を元手にまた自由に創作できるゲーム会社を新しくつくるだけです。留まるのも去るのも、結局はおなじこと。だったら、留まって Project Moonを続けたほうがいい。

──我也会以投资者的身份支持创作者,但对于那些主动表现出希望获得投资的创作者,我反而不会投资。如果对方不是那种“我可以接受你的投资”的态度,我也不愿意出资。
金:
我是那种不愿意寄人篱下的人。迄今为止,我也收到了几次收购提案。但是,即便卖掉公司赚一大笔钱,我也只会拿这笔钱重新开一家能够自由创作游戏的公司。无论去留,最后结果都一样。那么,还不如留下来继续经营Project Moon。
──会社の創生から今に至るまでの発展の歴史をうかがってきて、これぞまさに新進クリエイターたちの手本であると感じました。つまり、あなたたちの未来は、われわれにとっても未来の可能性でありえます。Project Moonの今後はどうなっていくのでしょうか? 組織としての目標と、キムさん個人の目標の両面からお伺いしたい。

キム:
 まず組織、Project Moonの目標からお話します。
 昔は「とにかく上にいく」という目標をメルクマールごとに明確に設定していました。たとえば、『Ruina』のときだったら東京ゲームショウに出展するとか。
 しかし、学生のときに描いていた目標はだいたい達成できてしまいましたし、ここからもっと「上」を目指すには、なんらかの犠牲や代償を必要とすることは、避けられないように感じます。
 では、今いる仲間やファンたちを非常に冷酷に切り捨ててまで、会社を巨大化させていくべきなのでしょうか? 私はそうは思いません。
 むしろ、利益の最大化よりは、今いるメンバーや自分にとってのクリエイティブの理想を追い求めていきたい。
 さきほども申し上げましたとおり、私は会社を家族のような暖かな空間にしたいと考えています。その暖かさを、現実のゲーム業界でサバイブしていく上でどうバランスさせていくか、それが課題です。
 個人としての目標は……まずクリエイティブ面では、3DオープンワールドアクションRPGを作ることですね。これはいつかやってみたい。でも、現時点では、とにかく物語を綴り、ファンと意思疎通を絶やさず、いつも好奇心と面白さというフィルターを通して世界を見つめ続けていきたい。
 ゲームクリエイターとしてのロールモデルは現在はおりませんけれど、強いていえば、小島秀夫さんのようにインディペンデントな立場で自分のビジョンを探求していけるような立場をつづけていけたらと思います。
 私のいちばんの恐怖は、死です。比喩ではなく、現実としての死。
 今はとにかく、死ぬのが怖い。
 しかし、恐怖あるところに希望はあります。たゆまず創作を続けていけば、いつか怖れのない、安らかな境地でこの世から離れられるのではないか。そう信じたい。
 それが私の究極的な目的であり、目標です。
——从创立至今的发展历程来看,我觉得贵公司确实是新晋创作者们的典范。也就是说,你们的未来,也可能成为我们的未来。我想从组织目标以及金先生的个人目标这两个方面了解一下Project Moon在未来将会如何发展?。
金:
首先,我来谈谈Project Moon的组织目标。
以前,我们会在每一阶段明确设定一个“向上发展”的目标。例如,在《废墟图书馆》时期,我们的目标是参加东京游戏展。
但是,我们在学生时代设定的目标已基本达成,从现在开始再追求“向上发展”的目标,似乎不可避免地需要某种牺牲或代价。
那么,我们是否应该不顾一切地抛弃现在的伙伴和粉丝,来壮大公司呢?我不这么认为。
相反,与其利益最大化,我更愿意追求现有成员和我自己的理想。
正如我之前提到的,我希望把公司打造成一个像家庭一样温暖的空间。如何一边在游戏行业中生存,一边平衡这种温暖,这将是一个课题。
作为个人目标……首先在创意方面,我想制作一款3D开放世界动作RPG。这是我将来想尝试的。但是,目前我更想继续创作故事,与粉丝保持沟通,并通过好奇心和有趣的视角不断观察世界。
虽然现在我没有特定的游戏创作者作为榜样,但如果要说的话,我希望能够像小岛秀夫先生那样,在独立的立场上继续探索自己的愿景。
我最大的恐惧是死亡。这不是比喻,而是现实的死亡。
我现在非常害怕死亡。
但是,恐惧中也蕴含着希望。我相信,如果我不断创作,总有一天能在没有恐惧的情况下平静地离开这个世界。我相信这一点。
这就是我的终极目的和目标。
――創作と物語の探求をつづけていけば、いつかは死への恐怖を克服できるのではないか。
 インタビューの最後に祈るようにつぶやかれたキム・ジフン氏のそのことばに、氏の敬愛するヘッセの姿が浮かんだ。
    「今日では、人間とはなにか、を知っている人はほとんどいない。しかしそれを感じている人はおおぜいいる。それで、その人たちはほかの人よりは安らかに死んでいく。ちょうど私がこの物語を書き終えたら、いくらか安らかに死ねるように。」(ヘルマン・ヘッセ、高橋健二・訳『ダミアン』新潮文庫)
 取材前は会社を腕一本で切り盛りする逞しい「船長」を想像していたIIN取材班であったが、インタビューで見せた彼の姿は、感じやすい少年の心を宿しつつも、一言一言を慎重に探りながら繊細に語る、一人の悩める青年だった。
 アーティストと企業家、ふたつの顔のあいだで張り裂けそうになっていた独立不羈の青年を救い、韓国ゲーム界屈指のビジョナリーに押し上げたのは、彼自身が築きあげた「家族」だったのかもしれない。
 終わりに、この場を借りて、インタビューのセッティングに尽力してくれたVittgen.inc代表のペ・サンヒュン氏と、通訳を務めてくれたrondo氏に心からの謝意を表したい。

――如果继续创作和探求故事,也许有一天就能克服对死亡的恐惧吧。
在采访的最后,金志勋先生如同祈祷般的低语,让我想起了他所敬爱的黑塞。
“今天,很少有人知道‘人’是什么,但有很多人能够感受它。因此,这些人比其他人更能平静地面对死亡。就像我写完这个故事后,也能平静地死去一样。”(赫尔曼·黑塞:《德米安》,高桥健二译,新潮文库)
采访之前,IIN采访团队曾想象金先生是一位能单枪匹马经营公司的坚强“船长”,但在采访中他所展现的,是一个怀有敏感的少年心灵,每一句话都字斟句酌、细腻地表达自己的苦恼的青年。
也许正是自己亲手建立的“家庭”救赎了这位在艺术家与企业家之间被拉扯的独立青年,并将他推上了韩国游戏界最具远见卓识者的地位。
——最后,借此机会,向为此次采访尽心尽力的Vittgen.inc负责人裴相炫(배상현)先生,以及担任翻译的rondo先生致以衷心的感谢。

「Indie Intelligence Network」では、今後も順次、長編取材記事を掲載してまいります。

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