所持品は私の世界だから、私自身が自分で選ぶと自分の限定をはみだすことができないけれども、人が見立ててくれると新しい発見、創造があり、私は新鮮な、私の思いもよらない私の趣味を発見して、新しい自分の世界がまた一つ生れたように嬉しくなる。 久須美はそういう私の気質を知っていた。彼の買い物の選択はすぐれていて、その選択の相談相手は田代さんであった。私は私の洋服まで、私が柄や型を選ぶよりも、久須美にしてもらう方が好ましい。洋装店にからだの寸法がひかえてあるから、思いがけない衣裳がとどいて、私はうっとりしてしまう。田代さんやノブ子さんのいる前ですら、私は歓声をあげて自然に久須美にとびついてしまう。 私は朝目がさめて久須美を送りだすまでの衣裳と、昼の衣裳と、夜の衣裳と、外出しなくとも、いつも衣裳を